ピロリ菌のヒトへの感染、ゴキブリが媒介(読売新聞2002/11/20付け掲載記事
より)
胃がんの引き金とされるピロリ菌は、ゴキブリを媒介にして人から人へと感染している可能性があることが、京都府立医大の今村重義医師らの研究でわかった。日本人の半数が感染者というピロリ菌だが、その感染ルートについては、排せつ物から口に入るという大筋がわかっているほかは、詳しくはわかっていなかった。 今村医師らは、あらかじめ雑菌を取り除いたゴキブリ20匹に、ピロリ菌の入ったエサを与え、フンの中にピロリ菌が排せつされるかどうか調べた。その結果、翌日のフンには増殖能力が十分あるピロリ菌が含まれており、3日後のフンの中でもピロリ菌は生き続けていることがわかった。1週間後まではピロリ菌の遺伝子が含まれるフンを排せつし続けた。 下水道など汚物のある場所にいたゴキブリが台所などでフンをすると、ピロリ菌が食材などに付着し、人間の体内に入る恐れがあるわけだ。
今村医師は「ピロリ菌は加熱調理すれば死ぬ。生で食べる材料はきちんと洗うこと。台所や調理場も常に清潔にしておく必要がある」と指摘している。
ピロリ菌毒素が胃壁細胞はがす(静岡新聞2003/2/24月 日刊 1面掲載記事より
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岡崎国立研究機構 かいよう発症解明
中高年を中心に国内でも感染者が多いヘリコバクターピロリ菌が毒素を出して胃壁を保護する粘膜細胞をはがし、胃かいようを起こす仕組みを岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)の野田昌晴教授らのグループがマウスを使って解明、24日付の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(電子版)に発表した。胃かいようの原因や発症の仕組みを明らかにする成果で予防や治療に役立ちそうだ。 グループは、胃壁を覆い保護している上皮細胞の表面にピロリ菌の毒素と結合する受容体タンパク質を発見。遺伝子操作で受容体を持たなくしたマウスと正常なマウスに毒素を投与した結果、正常なマウスの胃にだけかいようができた。 取り出した正常なマウスの胃壁組織に毒素を加えると2日後に上皮細胞がはがれ落ちた。 これらから毒素が受容体に結合すると細胞内に誤った信号が伝わり、細胞同士の接着にかかわる物質の機能が損なわれて上皮細胞が脱落。保護を失った胃壁が胃酸や消化酵素にさらされかいようになると分かった。 人間の胃の細胞にもこの受容体があり、同じ現象が起きるとみられる。
ヘリコバクターピロリ菌: 1980年代に胃の中で発見された細菌。べん毛を動かして移動し胃粘膜の下層に潜り込むほか、体内の
酵素を使ってアンモニアを作り、胃酸を中和して身を守る。胃炎や消化器かいよう、さらには胃がんの原因になるとされている。
<ピロリ菌>免疫酵素利用し胃がん発生(毎日新聞2007年4月2日3時2分配信)
京大グループが解明
京都大大学院の丸沢宏之助手(消化器内科)らのグループは、ヘリコバクター・ピロリ菌が胃がんを発症させる仕組みを、人やマウスの細胞実験などで明らかにした。ピロリ菌が、胃粘膜細胞をがん化するために、通常は免疫細胞にしかない「AID」と呼ばれる酵素を利用していたことを突き止めた。丸沢助手らは「細菌が原因でがんができる唯一の例。早期のピロリ菌除菌が胃がん予防に効果的だといえる」と話す。成果は2日、米医学誌「ネイチャー・メディシン」電子版に掲載される。
ピロリ菌は幼児時に経口感染し、胃に数十年すみ続け、慢性胃炎を起こす。 日本では40代以上の7割が感染しているという。胃がんでは最も重要な発がん因子であることが判明していたが、具体的な仕組みは分かっていなかった。 グループは人体の免疫機能を担うAIDが、本来は免疫細胞のBリンパ球にしかないはずなのに、慢性胃炎を起こした細胞に多く現れていることに着目。ピロリ菌を人為的に感染させた胃粘膜細胞にはAIDが多く現れ、重要ながん抑制遺伝子を変異させるなど、がん化する一連の仕組みを確認した。
AIDの働きを抑制するなどの新治療法開発の道も開けそうだという。
ピロリ菌と胃がんのメカニズムを解明…北大研究チーム(読売新聞2007年5月17日6時56分配信)
胃の中に生息するヘリコバクター・ピロリ菌が、胃粘膜を壊し、胃炎や胃かいよう、胃がんを引き起こすことに関与するたんぱく質「PAR1」を、北海道大遺伝子病制御研究所の畠山昌則教授らのチームが特定し、17日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
ピロリ菌と胃がんの関係を証明する成果で、胃がんなどの予防・治療につながると期待される。ピロリ菌は内部にCagAというたんぱく質を持ち、胃粘膜を形成する上皮細胞に付着すると、まず注射針のようなトゲでCagAを打ち込む。 上皮細胞は互いに結合して胃粘膜の働きをするが、細胞内に侵入したCagAは、細胞結合にかかわるたんぱく質「PAR1」に取り付き、その機能を失わせる
ことを確認した。
<ピロリ菌>胃がん起こす仕組み解明 北大の研究グループ
(毎日新聞5月17日11時21分配信)
胃に存在するヘリコバクター・ピロリ菌が、胃の粘膜を構成する上皮細胞をバラバラにし、胃がんや胃かいようを引き起こすメカニズムを、畠山昌則・北海道大教授(分子腫瘍学)らの研究グループが解明した。胃がん対策に役立つ成果で、17日付の英科学誌「ネイチャー」に発表した。
胃がん細胞の増殖は、本来はくっつき合っている細胞同士が分離しないと起きない。畠山教授らは分離の仕組みを探ろうと、イヌの上皮細胞を使って実験。 ピロリ菌が出す毒性たんぱく質「CagA」を投与すると、細胞同士の接着がはがれ、バラバラになった。CagAが接着剤役のたんぱく質「PAR1」と結合し、その働きを抑えることも確認した。
細胞の分離は、胃かいようの発生にも関係している。CagAがPAR1と結合するのを防ぐ薬を開発できれば、胃がんや胃かいようを防げる可能性がある。ピロリ菌を除菌できない人に役立つとみられ、畠山教授は「研究が進めば、胃がんや胃かいようの対策に生かせるのではないか」と話している。
ピロリ菌による消化性潰瘍発症のメカニズム。
(資料: 岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所)
参考文献:
1) 抗がん剤耐性の分子標的と克服へのアプローチ 東京大学分子細胞生物学研究所分子生物活性分野 鶴尾 隆 冨田 章弘 坂本 洋
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3) キノロン系の作用機序と耐性機構研究の歴史 平井敬二 杏林製薬株式会社 創薬研究本部
4) MRSAとは 平松 啓一 順天堂大学医学部細菌学教室
5) 高度バンンコマイシン耐性MRSAの出現 平松 啓一 順天堂大学医学部細菌学教室
6) 新規ケトライド系抗菌薬の細菌学的検討 井上松久 北里大学医学部微生物学・
7) 生体膜で働くプロトン駆動のナノマシン 【組織化と機能領域】 野地博行 大阪大学産業科学研究所
8) F1モーターはどうやってATPのエネルギーをトルクに変換するか? 野地博行 大阪大学産業科学研究所
9) 近代遺伝学の流れ 黒田行昭 裳華房
10) 抗生剤耐性獲得機構 Akimichi Tatsukawa 2005-11-19
11) ラット灌流肝のエネルギー代謝に対するサルチル酸の影響 日児誌
12) 細菌のⅡ型トポイソメラーゼ阻害薬のスクリーニング法の開発と新規Ⅱ型トポイソメラーゼ阻害薬の作用機序の解析 小山田義博(博士論文)
13) 微生物学講義録 前国立感染症研究所長 吉倉 廣
14) Albert Szent-Gyorgyi, & Laszlo G. Egyuud (1968). Cancerostatic Action of Methylglyoxal. Science, 160 (3832), P1140.
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16) “キノロン系の作用機序と耐性機構研究の歴史” 平井敬二 杏林製薬株式会社 創薬研究本部
17) "糖尿病合併症の進展予測物質を同定" 小川 晋 東北大学大学院医学系研究科
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